講座紹介
- 2009年12月 聖マリアンナ医科大学病院緩和ケアチーム発足
身体症状担当医(1名)精神症状担当医(1名)専従看護師(1名)専任薬剤師(1名) 臨床心理士(1名) - 2015年4月 聖マリアンナ医科大学緩和医療学寄附講座(愛和病院)設立
特任教授 月川 賢 - 2019年4月 聖マリアンナ医科大学病院緩和ケアセンター設立
センター長 月川 賢
ジェネラルマネージャー 吉岡千恵子 - 2020年4月 聖マリアンナ医科大学緩和医療学講座設立
- 2021年7月 橋口さおり主任教授 就任
診療
1)緩和ケアセンター
当院はがん診療連携拠点病院として、緩和ケアセンターを設置しており、多職種(医師、看護師、薬剤師、臨床心理士)によるチーム医療を行っています。
病棟から緩和ケアチーム依頼があった事例について、毎日の回診と病棟チームへの診療の推奨を行っています。毎朝、センター員によるブリーフィングを行ったあと病棟回診が行われます。初診時の包括的アセスメントには特に時間をかけ、患者さんの苦痛をそれぞれの職種の視点で評価を行い、患者さんの苦痛の緩和に最も適した職種が中心に関わります。
対象となる疾患は、がんを中心に、心不全、呼吸不全、神経筋疾患など多岐にわたっています。
毎日の診療の他、メディカルサポートセンター(ソーシャルワーカー)や管理栄養士と連携し、在宅への橋渡しも含めて総合的にケアを提供しています。
診療日は毎日、緩和医療認定医、緩和医療専門医、精神科医による診療(初診受け入れは月・水・金)が行われています。診療は基本的に緩和ケアセンター専従看護師とともに行い、患者さんやご家族のつらさを多角的な視点から評価し、必要なケアを早期から提供できるようにしています。
なお、当院には緩和ケア病棟がないため、入院を前提としての診療は行っておりません。
教育
1)医学部学生教育
第3学年で緩和医療学の講義を14コマ、第5学年〜6学年で1週間の臨床実習を行っています。
2024年 第3学年講義
scroll
回目 | タイトル | 概要 | 担当者 | 教員所属 |
1 | 緩和ケア概論 | ①緩和ケアの概念と定義 ②全人的苦痛 |
橋口さおり | 緩和医療学 |
2 | 疼痛の緩和1 | ①がん性疼痛の種類と原因 ②疼痛のアセスメント ③疼痛緩和の薬物療法 |
田澤利治 | 麻酔学 |
3 | 疼痛の緩和2 | ①オピオイドの種類と効果 ②タイトレーション ③レスキュードーズ ④ローテーション ⑤鎮痛補助薬 ⑥オピオイドの副作用と対策 |
小林祐子 | 薬剤部 |
4 | 疼痛以外の身体的苦痛 | 呼吸困難 消化器症状 リンパ浮腫 悪液質 |
平川麻美 | 緩和医療学 |
5 | 精神的苦痛 | ①不安と抑うつ ②不眠とせん妄 ③コミュニケーション |
櫛野宣久(非常勤) | 緩和医療学 |
6 | 社会的苦痛 | ①社会保険制度 ②社会資源 |
堀貴子 | メディカルサポートセンター |
7 | チーム医療 | ①緩和ケアチーム ②多職種連携 ③緩和ケアにおける栄養管理 |
吉岡千恵子 鈴木由希子 |
緩和ケアセンター
栄養部 |
8 | 地域医療と在宅診療 | ①ホスピスと緩和ケア病棟 ②在宅診療 |
山田祐司(非常勤) | 医学教育文化部門(愛和病院) |
9 | 小児緩和ケア | 小児緩和の特殊性 | 長江千愛 | 小児科 |
10 | AYA世代の緩和ケア | AYA世代の特殊性 | 鈴木直 | 産婦人科学 |
11 | がん以外の緩和ケア | ①がんとの違い ②心不全の緩和ケア |
木田圭亮 | 薬理学 |
12 | 緩和ケアの倫理1 | ①生命倫理の4原則 ②緩和的鎮静 ③安楽死と尊厳死 |
佐野文明 | 血液・腫瘍内科学 |
13 | 緩和ケアの倫理2 | ①終末期における意思決定 ②リビングウィルとアドバンスケアプランニング |
平川麻美 | 緩和医療学 |
14 | 緩和ケア事例検討 | 全人的苦痛の包括的評価と対応 | 橋口さおり 平川麻美 櫛野宣久(非常勤) 福田陽子(非常勤) |
緩和医療学 |
2)がん専門医を目指す専攻医の緩和ケアチームの参加や実習、海外からの留学生の見学の受け入れを行っています。
3)緩和医療専門医養成
聖マリアンナ医科大学病院は日本緩和医療学会専門医の認定研修施設(基幹病院)です。また、関連施設である川崎市立多摩病院も認定研修施設となっており、緩和ケア病棟があります。日本緩和医療学会専門医、日本緩和医療学会認定医が在籍しており、緩和ケアチーム・緩和ケア病棟など、総合的な研修が可能です。
大学の講座として、専門的な知識を共有するための学習(抄読会、検討会、研修会)を定期的に開催しています。また、スキルアップのための講習会等への参加や、学術大会での発表など積極的に行うことができるよう支援します。
学術
当講座には麻酔科・疼痛診療、腫瘍内科をバックグラウンドとする医師が在籍しています。それぞれの専門分野における研究の推進を通し、緩和医療学の発展に寄与できるよう支援を行います。